画家のおじいさんと、ミコノスにゃんず
- 2013年8月7日
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ギリシャ、キクラデス諸島は、建物がすべてといっていいほどに、白い。
白というのは、色が「ある」はずなのに、すべての色を包容する不思議な力があるみたい。
まるで、透明な水のように。
キャンパスも、ノートブックも白い世界に何かを描こうとする。
白というのは生命をあたえるように感じるし、白自体も妙に生きているように感じる。
ということが、よりいっそうこの島々にいる間、幾度も感じたことです。
そして、自由に生きるにゃんたち。
街はやっぱり小さくて、でも迷路のように入り組み、「あ、さっき通ったな」という錯覚に
何度も陥ってしまいます。
だけど、やっぱり迷ったら海に出ればいいと思っているので、不安になることはありません。
でもきっと、にゃんずはしっかり、道を覚えているんだろにゃ〜。
港にでると、いっそう風は強くなります。
釣りをしていたお兄さんと、ちょっと会話をすると
「知ってるかい? ここは、ウインディ アイランドって別名があるんだ!」と教えてくれた。
それほどに、風の音もずっと、ビュービュー聞こえる。
とりわけ、ものすごく風の強い場所で、カモメがたくさん飛んでいる。
魚、もらってたのね! え、違う? 狙ってるんだぜ〜って??
この後ろ側に、真っ白な教会。
一眼レフのファインダーを覗くと、目が眩みそうになる!
夕方、街で旅をしながら絵を描いているという、イギリス人のおじいさんに出会いました。
日本語が少しできたので話を聞くと、何十年も前に、日本に3ヶ月ほど滞在したことがあるとかで。
ずっと、ずっと、旅をして生きていると言っていました。
「どうやって?」と聞いたら、
「絵を描いて」と答えた。
「旅をしながら、絵を描いている」と私が言い直すと、
「生きるために、絵をかく、そのために旅をしている」と答えた。
旅は、生きることそのものであるという話。
「でも、最近はダメだ。みんな絵を買わなくなった。昔は、よく買ってくれたものだよ」と、視線を落としてから
「だから、もうミコノスにも長くはいられないだろう」と言う。
「その後は?」と聞くと、
「ヴェネチアへ行く。この世界で、最も好きな場所だ」と言った。
この画家は、これまでにどんな場所で、どれほどの風景画を描いてきたのだろう?
その、白地のスケッチブックに。
きっと、描いたものが、旅してまわった人生そのものなのだろうなと、思った。
お別れしたあと、ふたたび彼の姿を見たのは、太陽が沈む頃。
あらゆるものが他の世界にあるような、たったひとつの切り取った世界しか見つめていないような、そんな姿でした。
声をかけうことはせず(翌日、またばったり会ったのですが)、夕日をみに、丘へのぼりました。
つづく♡
最後の夕日の写真、いいですね!