建築首都ブラジリア その1

首都ブラジリアへ到着。

1960年に沿岸部にあるリオデジャネイロより

遷都された現在の首都です。

リオデジャネイロから実に1000キロ内陸に位置する場所。

首都を遷都すると決めた当時のクビチェック元大統領は、

なにもない広大で荒涼とした砂漠の大地、日中暑さの厳しいその土地を、

首都にふさわしい場所として首都ブラジリアの建設にとりかかったのです。

それは、ポルトガル植民地時代より続く首都リオデジャネイロから

「ブラジル人のための国」を築きたいという夢を現実にする

意志がこめられた、新しい我らの首都だったのです。

それも「50年の進歩を5年で!」というスローガンのもと、

始まったのはブラジリアの都市設計から。

そこで政府は、国内外に呼びかけ、設計のコンペをさせたらしいのですが、

26の案がだされ、抜擢されたのが、オスカー・ニーマイヤーの師でもあった

ルシオ・コスタの設計でした。

それは、ブラジリアという都を十字形に交差させた二つの大きな軸を

東西に走る軸(モニュメンタル通り)ー南北に走る軸(エイショ通り)とかまえ、

モニュメンタル通りのほうには、行政機関や産業地区、ホテル地区、

テレビ局やカテドラルなどが建設され、エイショ通りのほうは、

もっと日常生活に必要なスーパーや教育機関などが建設された。

「計画都市」と言われる首都に建てられた、こういったいくつもの建築物の

設計は、クビチェック元大統領に才能をかわれていたニーマイヤーでした。

長くなりましたが、空港からバスで移動。

まず、モニュメンタル通りにある、国立図書館と国立美術館、そしてカテドラル。

 

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バス停を降りると、どどんと国立図書館があります。

 

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シンプルだけれど、ニーマイヤーらしい曲線をつかった建築。

建物が柱の上にのっかるような構造(ピロティ)は、

ル・コルビュジエの影響でしょうか。彼はルシオ・コスタのもとで

設計の仕事をしていたときに、コルビュジエと出逢っています。

 

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それにしても、広大な平原に建物物がぼんぼこつくられたのが

肌でもって感じることができる。

 

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さて、遠くに見えるドームは、国立美術館です。

 

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1956年から1960年で、急速につくられていった首都ですが、

今から50年以上まであるのに「近代すぎる都市」を思わせるのが、すごい。

 

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雨の多い雨期。

雨が降ると不便が多いけれど、でも水たまりが、こんな芸術空間をつくってくれる。

 

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さあ、スロープに上って行ってみよう!

 

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あ、ちなみに、土星のような輪があった。おもしろーい。

 

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スロープを上っている途中、振り返ると国立図書館。

シンプルだけど、存在感がある。安定した構造だから?

 

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あ、土星の輪は、スロープで歩けるようになってるらしい。

 

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入り口は左右に分かれている。

 

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が、なーんと、この日は閉館。

 

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下から見上げる土星の輪の曲線が美しいこと!

 

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きっと、当時まっさらな土地、いや、大自然なる砂漠をまえに、

ニーマイヤーは宇宙や惑星を思ったのではないかと感じた。

 

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1967年、ニーマイヤーは共産党員だったため、国を追われてフランスへ逃亡。

そこでもフランス共産党にはいり、パリの共産党本部の設計をしています。

彼は世界の激動の時代に生き、自分らのブラジルを築くために

「設計」という武器をつかって、時代と、軍事政権のブラジルと戦い続けた男です。

 

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こちらメトロポリターナ大聖堂。

これまた、曲線美のすぐれた建築だし、これが教会だなんて思えない。

 

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大聖堂に入る手前には、伝道師たちがお出迎えしてくれます。

こちらはイタリア人の作品だとか。

 

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鳩さんにとっては、居心地よい頭上と鎖骨?

 

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さて、中に入るには、このように地下へと入っていくのです。

 

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まるで、トンネルのよう。

 

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仄暗いトンネルのような通路をぬける。

暗さというのは、若干でも心に緊張感とどこか自分を諫めてくれるような効果がある気がする。

 

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一瞬の仄暗いところから、突如目の前に開ける内部空間というのは劇的すぎる。

 

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青と白と緑(青緑に近い)の色彩でつくられたステンドグラスは

外からの自然光をいっぱいにうけとめ、内部に柔らかい明るさを与えてくれる。

 

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なんとなく、水中に漂うような、宇宙に浮かぶような気持ちがするのは

心地よいということなのだろう。

 

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これ、いまから50年以上前の設計かあと感心。

だって、これが美術館ならまだしも、教会なのだから!

 

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天井にエンジェルが飛んでおります。

 

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シンプルな椅子も素敵。

 

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十字架に、主イエス・キリストが。

 

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こちら、懺悔室。またいわゆる教会にあるのとは違う、奇想天外な装い。

 

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さて、外に。

 

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カテドラルの形は、イエス・キリストのかぶったいばらの冠ではないか、

とも言われているそうです。

私は王冠をイメージしたのですが……。

 

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近くに、こんなドライフラワーを売るお店が並んでいました。

なんだかカラフル〜。

 

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さてこの芝生部分は、モニュメンタル通りの中央部分にあって、

はるか遠くにまえる国会議事堂まで続きます。

 

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こんな、な〜にもない道だけど……

 

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見上げると、変わった植物があって、とげとげした幹にも拘らず

可憐な花々が咲いていました。

 

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まるで厳しい土地環境に、ブラジル人の夢や希望をもって挑み

つくられたブラジリアそのもののよう。

 

 

つづく♡

 

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